
はじめに:クラウドは中小企業の働き方を変える
今や多くの中小企業が、メール、スケジュール、ファイル共有、ビデオ会議などを「クラウドサービス」に頼る時代です。クラウドとは、ソフトやデータをインターネット上で管理・利用する仕組みのこと。大企業だけでなく、私たちのような中小企業でも、導入次第で仕事の効率やチーム連携が大きく変わります。
では実際、どのサービスを選べばよいのでしょうか?
今回は、2大クラウドサービス「Microsoft 365(以下M365)」と「Google Workspace(以下GWS)」について、経営者目線での比較をわかりやすくご紹介します。
主な機能を比較してみよう
項目 | Microsoft 365 | Google Workspace |
---|---|---|
メール | Outlook | Gmail |
スケジュール | Outlook カレンダー | Google カレンダー |
ビデオ会議 | Microsoft Teams | Google Meet |
チャット | Microsoft Teams | Google Chat |
オフィスソフト | Word / Excel / PowerPoint など | Google ドキュメント / スプレッドシート / スライド |
ストレージ容量 | 1TB〜 | 30GB〜(プランにより増加) |
AI機能 | Copilot(WordやExcelと連携) | Gemini(Googleアプリと連携) |
注目ポイント
- すでにWordやExcelを業務で多用しているなら、M365がなじみやすいです。
- 一方で、ブラウザだけで気軽に使いたい、共同編集が多い場合はGWSが便利です。
2025年8月時点の費用比較(月額)
プラン名 | Microsoft 365 Business Standard | Google Workspace Business Standard |
---|---|---|
月額料金(税別) | ¥1,874(1ユーザー) | ¥1,600(1ユーザー) |
ストレージ容量 | 1TB/人(OneDrive) | 2TB/人(Googleドライブ) |
インストール型Office | あり(Excel、Word等) | なし(全てWeb) |
※料金は公式サイトより。プランは最も人気のある「Standard」で比較。
補足
M365は高めですが、インストール型のOfficeアプリが含まれており、Excelなどを日常的に使う企業には適しています。一方、GWSはブラウザでの作業が中心で軽快です。
日本国内での導入シェアは?
総務省の最新調査(2025年版)や各種レポートによると、以下のような傾向があります。
- Microsoft 365:約58%(特に製造・建設業に強い)
- Google Workspace:約28%(教育・スタートアップ・IT系に強い)
ポイント
M365は「日本企業に根強いOffice文化」と親和性が高いため、大企業や官公庁も多く採用。一方GWSは柔軟な働き方を取り入れている企業に人気です。
導入・運用のしやすさは?
観点 | Microsoft 365 | Google Workspace |
---|---|---|
初期設定の難易度 | やや高い(専門知識が必要な場面も) | 比較的簡単(Googleアカウント感覚で使える) |
サポート体制 | 充実(日本語電話・メール・チャット) | 充実(日本語メール・チャット中心) |
社員のなじみやすさ | Office経験者が多く導入しやすい | Gmail世代の若手に好評 |
補足
M365は最初の設定が少し複雑なため、ITサポートやパートナー企業に依頼するのが安心です。GWSは管理画面もシンプルで、社内での立ち上げも比較的スムーズです。
AI機能の違いも注目!
2024年以降、両者ともAI機能を急速に拡充しています。
- Microsoft Copilot(M365)
-
Wordで自動文章作成、Excelでグラフ・集計、Teamsで会議要約など。
既存業務と密接に連携するため、業務効率アップが期待できます。 - Google Gemini(GWS)
-
Gmailで自動返信草案、ドキュメントで要約、スプレッドシートで分析補助など。
自然な会話調の操作が強みで、Googleらしい軽快さがあります。
経営者へのおすすめポイントまとめ
目的・社風 | おすすめ |
---|---|
社員がOffice製品に慣れている | Microsoft 365 |
若い社員が多く、柔軟な働き方を重視 | Google Workspace |
導入サポートをしっかり受けたい | Microsoft 365 |
社内IT担当がいない、シンプルに始めたい | Google Workspace |
AIを業務の一部に取り入れたい | どちらも対応可、ただしM365は既存業務と連携しやすい |
おわりに:導入は“目的”から逆算を
どちらを選ぶかは「会社の業務内容」「社員のITリテラシー」「将来の働き方」を軸に考えるのがポイントです。料金だけでなく、導入・運用のしやすさや、AIとの連携も重要になってきています。
「今後、社内にどんな働き方を根付かせたいか」
その問いから逆算して、最適な選択をしていきましょう。
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